小説

□戦闘シーンテスト
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 がしゃん、という重低音と共に、俺はバックパックを変形させ、脇に構える。
 装甲車の主砲を連想させるそれの、コンテナ型の本体の蓋を弾いて開き、「Fanta」と描かれた紫の缶を数個、次々と内部に装填してゆく。
 手元に残った一本を飲み干し、口元を拭い、
「炭酸飲料は体に悪いんで、注意しな」
勝機の笑みを浮かべ、俺は手元の引き金を引いた。
 一瞬、砲身の奥深くに、強烈な重力フィールドが形成される。
 次の瞬間、凄まじい爆音と共に、鋼鉄の砲身から紫の光が放たれる。
 それは、物理法則ギリギリの密度まで圧縮しきった「Fanta」。もはやそれは、喉を潤す炭酸ジュースなどではなく、黒紫に輝く超高熱エネルギーの集合体であった。
 俺の体を衝撃で後方に吹き飛ばし、頑丈な砲身をひしゃげさせるほどの重力フィールドを持った熱弾は、地鳴りのごとき音を響かせ、後方に出現する真空波によって大地を抉り取りながら、目標である鉄(くろがね)の大型飛空艇へと、一直線に突っ込んでゆく。
 

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