原稿用紙
□原稿用紙
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京祐へ。
今年も銀杏が色付いてたよ。京祐にも見せてあげたいな。
でも前みたいに感動は出来なかったの。なんでだろうね?
それより銀杏を見たら苦しくなるんだ。
貴方が旅立ってから、季節は思う以上に進んでいたって事に気付いちゃったからかもしれない。よく分からないんだけど。
ねぇ、貴方が帰ってきた時はあの場所でピクニックでもしようよ。お弁当沢山作っていくから楽しみにしてて。だからその時は、そっちの事を沢山聞かせて欲しいな。
あの場所って何だろう。分からない事ばっかりだ。やっぱり俺が読んじゃ、ましてや持ってちゃ駄目なんだろうな。
でも何でこの教室に手紙を置くんだろう。
京祐さんの居る住所が分からないからとしか考えられないよなぁ。
でもわざわざ此処に置くって事には何か理由があるんじゃないかとは思うんだけど。どうなんだろう。
考えても結局は分からないからままだから、手紙を鞄にしまって1-Aの教室に戻った。
「おっツナ、帰ってきたか」
「十代目!お戻りになられましたか!野球バカなんか放っておいて帰りましょう!」
「え、いや・・・。あ、二人とも待っててくれてありがとね」
「大丈夫っスよ!気にしないでください」
「そうなのな!」
二人はそう言ってくれるけど、これから毎日待たせるとなると気が重い。悪いなって思う。
どうにか出来ないかな・・・
どうにも出来ないか。俺が手紙を読むかぎりは。
それじゃあ帰ろうかと言って、皆で家路についた。
「そういやぁツナ、昨日から何やってんだ?帰る前にどっか行くだろ?」
「野球バカと同じ意見なのが気にくわないんですが俺も気になってました。もしかして果たし状ですか?!相手ブッ果たす!」
「違うよ獄寺君!しまって、ダイナマイトしまってーっ(てゆうかブッ果たすって何ーっ)」
それより、二人に言うのはまずいよね。なんて言い訳したらいいんだろう。
「あれはそのー・・・ト、トイレに行ってたんだ!(これしか思い付かねー!)」
「それにしちゃあ長くねぇか?」
「バカかお前は!十代目はきっと大の方をなさってたんだよ!じっくりと時間をかけてなさってたんだ!そんな事も分かんねぇのかこの野球バカ!」
「(その考えおかしいよ!)」
「そうだったのな!悪ィなツナ、変な事聞いちまって」
「いや、いいよ。(納得してるーっさすが山本!天然!)」
まぁ何とかなったしいっか。