兄×弟+α

□FOOL
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――深夜。どうしてかは判らないけれど、何かの拍子で目を覚ましてしまった。

それから、再び眠りにつこうと俺は目を閉じるけれど、何時まで経っても眠気は来そうにない。

「……」

そっと、目を再び開けた。視界に広がるのは真っ黒なセカイ、漆黒に染まったヘヤ。

どうしてだろう。ぼんやりと暗いそこを見渡していると、段々と心がざわついてきた。胸がもやもやとして何だか苦しい。

「すー、すー……」

暫くそうしていると、真横から気持ちよさそうな寝息の存在に気付く。それが誰のものであるか容易に想像がついて、俺は思わず笑みを浮かべる。しかし、それでも胸のもやもやは治まらない。

目を覚ましてある程度の時間が経ったからだろうか。全然見えなかった視界が薄っすらとだが、先ほどよりは見えるようになってきた。

「……ヒューバート」

ぎし、と自分が眠っていたベッドから身を起こして、俺は幾分か見える視界を頼りに、真横にあるベッドで眠っている弟の元へ近寄る。歩く度に、段々と視界に大きく映ってきた布団から見えてくる空色の髪に、俺は少しだけだが胸のもやもやが少し治まったような気がした。

「すー……」

ヒューバートのベッドまで歩み寄ると、ベッドの高さに合わせる為に俺は膝を折って、真横で彼の顔の観察をする。

こうやって見ると、意外とコイツも童顔なんだな(こういう時、ああ兄弟だな、と思う)。睫毛も長いし。

そういえば、ラントにいるおばさんが言ってたが、ヒューバートは男にしては可愛い容姿をしてるらしい。らしい、というの俺が弟の容姿について意識をした事がないからだ。物心ついた頃からヒューバートは一緒にいたし、そこまで容姿について考えたことはない。しかし、確かにこうまじまじと見ていると、兄である俺の贔屓目抜きとしても整った顔立ちをしていると思う。

と言うか、7年もストラタにいたクセに肌白いな。そして、相変わらず頬柔らかそうだな。

そう思っていたら、いつの間にか手を伸ばしてたらしい、気が付いたら俺の指はむに、と何年経っても柔らかそうなヒューバートの頬を突っついていた。うん、柔らかい。肉付きよくないクセにここだけは相変わらず柔らかい。


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