過去拍手文。
□君は酸性
1ページ/1ページ
シトシト雨降る6月
今日も仲良く任務中のイタチと鬼鮫。
雨足が強くなってきたので雨宿り。と思ったら、紫陽花の花の前で立ち止まったまま動かないイタチ。
「お体にさわりますよ」
イタチの体を気遣う鬼鮫。その言葉にも反応せずにイタチはただ紫陽花を見ていた。
「なあ、鬼鮫」
「何ですか?」
「紫陽花の花は土壌の酸性度によって色が変わるらしい」
「あぁ、そう言えばそんな話聞いた事がありますね」
イタチは、まじまじと鬼鮫の顔を見る。
「私の顔に何か付いてますか?」
「土がアルカリ性なら赤。酸性なら青らしい…」
「ええ、それも聞いた事があります。で、それと私の顔と何か関係が?」
「お前は、酸性だな…」
しばらく考えた後、鬼鮫はイタチの言いたい事が分かったらしい。
「言いたい事は分かりました。イタチさんは、私の顔が青いと言いたいんですね。全くあなたは、人が気にしている事をサラリと…」
「気にしていたのか?」
「当たり前じゃないですか!ただでさえ人間離れしたこの顔に青い色。子供の頃どれだけバカにされたか」
「そうなのか。オレはお前のそういう顔が好きだが…」
「え?」
イタチの何気ない告白に鬼鮫の頬が赤く染まった。
「あ…お前今アルカリ性になった」
「紫陽花はもういいです!」
こうして二人は今日も仲良く任務を遂行するのであった。
end.