小話倉庫(後ろがNEWです)

□THE POINT OF NO RETURN
2ページ/2ページ








サスケに対する里の反応は冷たかったけれど、そんなことはどうでもいい。


里の全員を敵に回しても、ナルトはサスケ君を守るだろう。


それが、許せない。


いつか里の全員を説き伏せてしまうだろう、ナルトの真っ直ぐな心、真っ直ぐな瞳。


そんなナルトに愛される君を、ボクは許せない。








だから君を消してしまおう。
ナルトの前から、この世界から。



そう思ったけれど…………ボクの選択肢はひとつではなかった。








君が消えてしまっても、ナルトの心には、君が永遠に生き続ける。

ボクが殺したんだよ、と告げて、永遠にナルトに恨まれて──────それでもいいよ。
ただの仲間で終わってしまうより、憎しみで繋がる方が………………ああ、でも、ナルトはボクを憎むよりも、ボクがそうしたことで悲しむだろう、苦しむだろう。


なら、いっそ─────────ナルトを殺してしまおうか。
ボクを信じているナルトに、毒を盛るのは容易いことだ。
その信頼を利用するのは胸が痛むけれど、君がサスケ君と結ばれるのを見る方が、痛いんだ、苦しいんだ。

ごめんね、ナルト。


ボクもすぐに後を追うよ。

君を一人になんてしないよ。



皆は悲しむだろう。
永久にその死は謎のままで。

別にボクがやったと……分かっても、もう遅い。



ナルトは永遠にサスケ君のものにはならない。


といって、ボクのものになるのでもない。




報われない想いは、こうして病んで、ボクの心を蝕んでいる。






さあ、この小瓶を、どう使おうか。







一欠片だけ残った良心を、この場で切り裂いて、ボクは木ノ葉の里へと続く道を歩きだした。














*************************************


タイトルは『オペラ座の怪人』の楽曲より。

いや、まだ、引き返せるよ、サイ!
…でもこの話のサイは「引き返せない」「引き返さない」覚悟なんでしょう。

私は基本、こういうBAD END的なお話は書かないようにしてるのですが……でも、貴女なら、どんな結末を望みますか?
私なら……………







前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ