サスケに対する里の反応は冷たかったけれど、そんなことはどうでもいい。 里の全員を敵に回しても、ナルトはサスケ君を守るだろう。 それが、許せない。 いつか里の全員を説き伏せてしまうだろう、ナルトの真っ直ぐな心、真っ直ぐな瞳。 そんなナルトに愛される君を、ボクは許せない。 だから君を消してしまおう。 ナルトの前から、この世界から。 そう思ったけれど…………ボクの選択肢はひとつではなかった。 君が消えてしまっても、ナルトの心には、君が永遠に生き続ける。 ボクが殺したんだよ、と告げて、永遠にナルトに恨まれて──────それでもいいよ。 ただの仲間で終わってしまうより、憎しみで繋がる方が………………ああ、でも、ナルトはボクを憎むよりも、ボクがそうしたことで悲しむだろう、苦しむだろう。 なら、いっそ─────────ナルトを殺してしまおうか。 ボクを信じているナルトに、毒を盛るのは容易いことだ。 その信頼を利用するのは胸が痛むけれど、君がサスケ君と結ばれるのを見る方が、痛いんだ、苦しいんだ。 ごめんね、ナルト。 ボクもすぐに後を追うよ。 君を一人になんてしないよ。 皆は悲しむだろう。 永久にその死は謎のままで。 別にボクがやったと……分かっても、もう遅い。 ナルトは永遠にサスケ君のものにはならない。 といって、ボクのものになるのでもない。 報われない想いは、こうして病んで、ボクの心を蝕んでいる。 さあ、この小瓶を、どう使おうか。 一欠片だけ残った良心を、この場で切り裂いて、ボクは木ノ葉の里へと続く道を歩きだした。 ************************************* タイトルは『オペラ座の怪人』の楽曲より。 いや、まだ、引き返せるよ、サイ! …でもこの話のサイは「引き返せない」「引き返さない」覚悟なんでしょう。 私は基本、こういうBAD END的なお話は書かないようにしてるのですが……でも、貴女なら、どんな結末を望みますか? 私なら…………… |