BRAVE10短編

□恋は仕勝
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「佐助!」

名前を呼ぶと、少し遅れて佐助が現れる。
その顔の前にいきなり袋を押し付ける。

「な、何!?」

才蔵が押し付けているせいか、なかなか目の前の邪魔な物を避けることができず、わたわたとする。
その姿に才蔵は耐え切れないといったようにぷっと吹き出し、顔から袋をどけてやる。

「菓子だ。オッサンから差し入れ」
「!! 多謝!」

ぱぁあっと顔を輝かせ、袋の中身をつまむ。

「美味いか?」

尋ねれば、嬉しそうな顔でこくこくと頷く。
愛らしい姿に思わず顔が緩む。

「佐助、俺にも」
「!?」

あー、と口をあけて、ちらりと佐助を伺うと、顔を少し赤くして、またわたわたとしている。
また、吹き出しそうになるが、ぐっと堪える。
佐助は観念したように、ぐっと唇を噛んで、袋の中身を一つ取り出す。
それは、小ぶりの黄な粉飴だった。
少し震える手で才蔵の口元にそれを運ぶ。

ぱくっ

「!!!」

強引に佐助の指ごとそれを口に含む。
佐助はといえば、これ以上ないほど顔を真っ赤にしている。

「っ・・・」

丁寧に佐助の指についた黄な粉を舐め取れば、佐助の体が少し揺れる。

「甘いな・・・」
「〜っ・・・馬鹿!!!!!」

そう叫ぶと、佐助は姿を消してしまう。
才蔵はしばらくぽかんとしていたが、そのうち、にこっと笑うと、近くの茂みまで足を運ぶ。

そこには小さく蹲る佐助の姿があった。


「    」
「!!!!!!〜っ」

才蔵は何か佐助の耳元で囁いて、その場を去った。

後には、真っ赤になった佐助が、雨春に心配そうに見つめられながら座り込んでいた。

















「・・・相変わらず、むかつくいちゃつき方よね」
「まぁ・・・仲睦まじくて良いのではありませんか?」













End
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