オリキャラ短編2
□親孝行
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「お久しゅうございます。父上」
春の日差しのような暖かな笑みを浮かべて、安岐が部屋に入ってきた。
その笑顔を向けられているのはこの城の主、大谷吉継である。
布団の上に身を起こし、軽く包帯で覆われた顔に面影のある笑顔で返す
「久しぶりだね。安岐」
安岐は嫁いでからも小まめに会いに来てくれる。
最近は少し大きな戦があり、城から出られなかったようだが。
「お体の具合はいかがです?」
病に冒され、醜くなってしまった私の体を、安岐は嫌がることもなく世話してくれる。
「あぁ、大分いいよ。安岐が来てくれたからかな」
照れたように安岐が笑う。
その笑顔に、本当に病も治るような心地になる。
「幸村殿の様子はいかがかな?」
「相変わらずです。この前などまた政宗殿と…」
困ったように言いながら、その顔は幸せそうで。
安心する。
もう私も、思い残すことはないな。
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