オリキャラ短編2

□精一杯の
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いつまで経っても幸村は来ない。


辺りはもうすっかり暗くなり、月が空高く浮かんでいた。

















お館様直々の稽古で随分遅くなってしまった。

安岐はもう寝ているだろうと、汗を流し、髪は濡らしたまま部屋へと歩いていた。


すると、安岐に買ってやった赤い袿が見えた。
近くに寄ってみる。

安岐は柱に寄りかかり、すやすやと規則的な寝息をたてて眠っていた。
傍らには綺麗に畳まれた手拭いが置いてある。

「…ずっと待っていたのか…?」

季節はもう夏に入ったとは言え、夜になると冷える。

安岐の手に少し触れてみる。
案の定冷えきっていた。

何も、このような場所で待たずとも良いものを。

そう思いながら、何やら心の奥から暖かいものが溢れてくるのを、押さえることは出来なかった。












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