オリキャラ短編2

□精一杯の
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それは、涼やかなある夏の始めの日の出来事。














幸村は相変わらず鍛練で安岐は縁で静かに茶を飲んでいた。
暑い日が続いていたが、その日は珍しく気温が下がり、爽やかな一日となっていた。

夕方ともなると寒いほどだ。


(少々寒くなって参りましたね…)

安岐は茶を一口飲む。だがそれは既に冷えきっていて、逆に寒さが増すだけだった。

(幸村様…まだいらっしゃいませんね…)

安岐の傍らには一枚の手拭い。
鍛練から帰って、汗だくであろう夫を労ろうと、こうして待っているのである。
だが、当の幸村は朝鍛練に出たにもかかわらず、全く帰ってこない。
鍛練場へ行けばいいと言う人も有ろうが、幸村から来てはならぬと厳しく言われているために近付けもしないのだ。
そういうわけで、安岐は辛抱強く待っている。


(無理をなさっていなければ良いのですが…)


悶々としながら、安岐はまた冷たい茶を飲んだ。








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