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夜のって付くとなんでも怪しく聞こえるアレの話
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今日、神楽は新八の家に泊まり。家には久しぶりの静寂……こんな日は男のお楽しみタイムを実行するにはもってこいだ。
浮き立つ気持ちを抑えながら長谷川さんに借りてたハードな奴をデッキにセット電気を消してして桃色鑑賞会をスタートした。

「いや〜贅沢だねェ「ヘェ〜銀さんこの女の子が好みなんだ〜」

画面に映る男女の組んず解れつを見ながら呟くと聞き慣れた声が返ってきた。
え?マジで?恐る恐る後ろを見ると仕事着の四季がソファの淵に頬杖をついてテレビを見ていた。

「おまっなんで!?」

やべえええ完全に仕事行ってた四季の存在を忘れてた!つーかこいつ忍者なの!?全っ然気づかなかったんだけど!?恐ろし過ぎて目を合わせる事もできず必死にリモコンを探すけれど見つからねぇ。あ、今日命日だわ。

「でも私はあんまり好みじゃないなぁ。喘ぎ声が全然好みじゃ無い」

「……は?」

鉄拳食らうつもりで腹を括ってたのに意外な言葉で。
今こいつなんて言った?戸惑っている俺を他所に四季の酷評は続いていく。

「あっでもスタイルは良い。特に腰のラインとお尻が綺麗。ねぇこの女優さんの名前「ストオオオップ!!ちょっ四季違くね?普通そこ怒るとこじゃねーの!?」

色々が予想外すぎて急いで止めに入ると四季はキョトンとした表情をしている。いや、そのリアクションもおかしいだろーが。

「なんで?怒って欲しいの?銀さんいつからMになったの?その前にこの女優さんの名前は?」

「質問攻めェ!?女優の名前は後でパッケージ見りゃいいだろ!つーかこの返答も違ぇな!?普通彼女なら彼氏が大人のビデオを見てたら怒りたくならねーの?」

四季ちゃん実はそっち系なの?俺の言い分総スルーしやがって。こっちはキレッキレなのに本人はアレ?なんて意外そうな顔をしてとんでもねぇ事を言い放った。

「言ってなかった?私、女性を見るのが趣味なんだよね〜あっロリじゃなくてお姉さん限定ね」

「え、まさかAVとか見てんの?」

「まぁ好みの子が出てればね〜今やネットで色々見れるから楽しいよ〜」

開いた口が塞がらねェとはこの事を言うらしい。だから前に四季が掃除しててうっかり長谷川さんからのレンタル品が出て来た時もパッケージを眺めてたのか。
思い出しながら納得してると四季は続けて話し出した。

「性行為してる時って本能剥き出しじゃん?演技でもその姿って動物的で見てて面白いし、男性から見た女性への妄想が詰まってて楽しいんだよね〜」

「縁起でもねー事言ってんじゃねーよ」

「演技だけに?」

「上手くねーっての」

「兎に角、今の時代は女も見てるって事。女性向けとかあるし何より出てる子が可愛いから目の保養になるんだよね」

「へ……ヘェソウナンダネ」

訳が分かんねェ。つーか実際四季って致すとき恥ずかしがってたよな?恥ずかしがるのに桃色映像頭ん中で流れてたってことか?ギャップ凄すぎんだろ。最高だなオイ。アレちょっと待て女性向けって何よ。

ダメだ。突然の情報量で頭ん中こんがらがり始めたわ。一旦一時停止し忘れて行為が進んじまってる桃色映像に気持ちを切り替えるか。
ふと、それまで背後に居た四季が俺の隣に座った。

「……お前風呂入んないの?」

「折角だから一緒に見ようよ。女性的萌えポイントも教えてあげるよ」

「ゆっくり見させてくれえええ!!」

なんっなんだこの状況は。画面は桃色映像、隣には映し出されるプレイを真剣に眺めている四季。こんなんで冷静になれっかよ!!いや、寧ろこの状況って久しぶりに「そういう雰囲気」するチャンスか?でも今日銀さん割と気持ち的には複雑な感じなんだけどな。色々しぼんじまってんだよ。

もう映像の内容なんざ微塵も入って来ねぇ。ぼんやりしながら暫く眺めていると不意に四季の手が俺の太腿に添えられた。

「て……手伝おうか?」

意思とは関係無しに俺のジュニアはこの状況に反応しちまっていたらしい。四季をじっと見つめると少し恥ずかしそうにしているのが暗くても近くに居りゃよく分かる。
えっまさかそういうこと?期待を込めて俺は返事をした。

「……もしかしてムラムラしちゃったとか?」

コクリと頷いて四季は目を逸らして照れている顔を隠すように話し始めた。

「だってこういうの一緒に観るなんて思ってなかったし、その……最近シてないし?」

なんなのその誘い方!お誘いとか初めてじゃね?萎んじまうどころかテンション爆上がりだわ!!でもがっつくと引かれるしなぁ。
頭ん中であーだこーだ言って黙っちまっていると四季は自分の発言に気まずさを感じたのか手を太腿から離して立ち上がった。

「ごめん忘れて!お風呂入って「そんなもん後で良い」

逃げようとする四季の手を掴んで俺の膝の上に乗せた。珍しく四季が誘ってんだ。コレは据え膳食わぬはなんとやらってやつだよな!がっついて良いって事だよな。

「口でお願いしてもいーですか?」

いつもは頼めねぇ事を言ってみると四季は戸惑いながらも頷いた。その表情一つ一つがすげーそそる。

「良い……けど……映像のと比べないでね」

「しねーよ。寧ろ四季がやろうとしてるってだけで銀さんのジュニアは大暴走よ」

比べたくもねー。四季が一番に決まってんだろ。証拠だと言うように四季の手を引いて触れさせると「本当だ」って呟いて照れ臭そうに笑った。不覚にもそんな笑顔にさえ興奮しちまう。
ふと目についた流しっぱなしのテレビを消した。これより目の前の四季を見ていてぇ。

「消すの?」

「こっちに集中してーからまた今度な」

「それもそれで恥ずかしいけど」

「どっちだよ」

色気のねぇやりとりに笑ってからそれよりこっちだろ?ともう一度手を引いて触れさせながら四季の唇を堪能した。
さて、夜は長ぇんだ。目の前で頑張ってくれてる四季にお礼をたっぷりしてやらねーとな。今日だけは桃色映像に色んな意味で感謝したのは言うまでもない。

2021/10/17 執筆


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