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□10月10日
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「銀さん起きて!」
そう言って豪快に布団を剥がされた。声の主は万事屋の雑用係ナンバー2兼俺の彼女四季。
「んだよもうちょい優しく起こしてくんね?おはようのチューでも良いんだけど」
「おはよ。三人で買い物行ってくるね。これ新八くんが渡してくれって。ちなみに二度寝したりそのメモ見ないで捨てたら暫くお登勢さんのお店とカマっ娘クラブで家賃稼いでもらうからね」
「いってきます」と満面の笑顔を見せて四季は神楽と新八の待つ玄関へ向かって行った。無視かよと寝ぼけた頭で考えながら渡されたメモを見た。
『おはようございます。朝ご飯は電子レンジの中です。 新八』
「直接言えや!!って一人でツッコミすんの寂しー!!」
我に返って布団も剥がされたし飯食うかとメモの通り台所へ朝飯を取りに行く。別に四季の脅しが怖かった訳じゃないし?丁度腹減ってきたからだから。
「つーか新八もとうとう面倒くさがりやがったな。ってまたメモかよ」
電子レンジを見ると空の茶碗にまた同じメモが入ってる。なんなの万事屋内でメモが流行ってんの?見ると神楽の字で書かれていた。
『目玉焼きより玉子かけご飯派です。白米は炊飯器からよそえヨ 神楽』
「知るかああああ!!ってまた一人でツッコミしちまったじゃねーか!!これじゃいつまでも飯に辿り着かねーよ」
神楽も反抗期か?ちょっと手が込んでんのが腹立つわー。イライラしながら炊飯器を見るとまたメモが張り付いてた。
『デートしよう今すぐ!服は玄関に置いたものを着てね。 四季』
「デートってあいつがこんな積極的なの初めてじゃね?さては俺と熱ゥ〜い夜を過ごしたいとか?最近ご無沙汰だから愛されてんねェ〜俺」
飯食って四季が帰ってきたら速攻デートだな。さっきのイライラはどっかに吹っ飛んでウキウキした気分で炊飯器を開けると空だった。
「……とうとう愛想尽かされたか?イヤイヤイヤ炊き忘れだろ。うん絶対そうだ四季も新八もうっかりさんだなってあり得るかあああ!!上等だコラァ玄関で待ち伏せてあいつらにネチネチ嫌味言い続けてやるわ!!」
茶碗片手にズンスン玄関に行くとメモの通り俺の服が畳まれて置いてあった。そこにも忌まわしきメモがいやがる。
『洞爺湖と財布は預かった。返して欲しければ今すぐ下のスナックお登勢に来い。 定春』
「定春字書けるようになったのかすげーなって書くわけねーだろーが!!これどう見ても神楽の字だよな」
もう訳わかんねェ。財布も木刀も無ェと困るって知っててあの3人持って行きやがった。銀さん何かしたっけ?あ、新八はこの前お通ちゃんのCD割っちゃって神楽は隠してあった酢こんぶ俺が食った。それに四季のへそくりこの間パチンコで刷って……色々やってたわ。そりゃこんな変な事したくなるわな。
「ったく面倒くせー事になったな」
とりあえず財布と木刀を返してもらう為に置いてある服に着替えてババアの店のドアをガラリと開けた。