銀色金木犀
□あと一秒
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今年は色々あったなとお蕎麦を茹でながら呟いた。
今日は大晦日。
本当は新八くんの家で年を越そうと言っていたのだが生憎お妙ちゃんは仕事が入ってしまい、結局万事屋で年越しとなった。
「蕎麦、沢山茹でておいたほうが良いですね。神楽ちゃん食べそうだし」
「そうだね。一応ご飯も炊いておくけど足らないかも」
万事屋の台所では鍋を2つ使って蕎麦を茹でている。私が蕎麦を茹でて、新八くんがその他を作る分担になっていてお互い暇になれば手伝うサイクルにした。
「オーイ。めんつゆ買ってきたぞー」
「キンキンに冷やしておけヨ!」
「あーさみ」なんて言いながら台所にやって来た銀さんはめんつゆを置いた。新八くんの提案で二人にはお使いに行って貰っていたのだ。(料理の邪魔されちゃ困るし)さすが新八くん、こう言う事に関しての人使いが上手い。
「神楽ちゃん冷やすって今日食べるのは蕎麦だよ。そうめんじゃないからね」
「冬にキンキンに冷やしたのもまた粋ってヤツネ」
「いやいや寒いよ。そんな変なこと誰が教えたの?」
「銀ちゃんヨ」
「夏也ちゃんその冷たい目やめて!この年頃はなんでもスポンジ見てェに覚えるんだからよ」
「まーまーとりあえず神楽ちゃんは銀さんと一緒にお箸とお皿出して置いてくれる?」
銀さんとの静かな戦いになりそうになった時、新八くんがまた分担をしてくれた。ナイスフォロー新八くん!
そんな事を思っている間に神楽ちゃんは居間に戻って行き、銀さんはまだ台所にいた。
「なァぜんざいは?」
「ありますよ。蕎麦の後にお餅焼いて入れようかと」
「マジでか!良く分かってんじゃねぇか。ありがとよ」
銀さんはそう言って私の頭を撫でて蕎麦の入ったカゴを和室に持って行った。
「あんまり食べると糖尿になるのに」
いただきますをしたのはめんつゆを貰ってから5分後。なのにものの20分で皆平らげてしまった。(主に銀さんと神楽ちゃんと新八くん)蕎麦をあまり食べれなかった私は死守した白米をひたすら食べた。
そのあとはコタツの中でぜんざいを食べつつまったりしていると神楽ちゃんが急に口を開いた。
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