L'eacute;pave de l'amour

□望郷故郷の冬の海
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いつか あの船に 乗って
この 海を 越えて


白い軌跡を残して 船が旅立つ
切ない汽笛が 冬の空気を切り裂く
灰白の海の果てに待つ 故郷を求めて

冬の海は どこか哀しくて
おかげで 私の国を想い出す


この 水平線の彼方にある 私の国


氷に閉ざされた 大地
そこに住む人たちは 寡黙で誠実
凍える冬は みんな寄り添って越える
やがて訪れる 歓喜の春を待ち侘びて

そこは私の国
私が捨てた国
凍てついた冬の国

裏切った私を あの国は
再び迎え入れてくれるだろうか


船が 行く


遥か海原へと 旅立って行く
色とりどりの 縁の糸を引きずって
希望や絶望も 運んで行く

潮の流れに全て 融けたらいいのに

波は 波を押し
その波は その輝きを
次の波に託して 消える

そうして 私の想いを波に乗せて
海原を行き 水底に漂い
どうか私の生まれた国へ

灰白の波の彼方に 私の国
今頃 氷に閉ざされた大地は
深い雪の中で うっとりと微睡みながら
美しい春を 夢見ているのだろう


海に 雪が 降る
深々と 雪は 降る
けれど この国の雪は
全てを包む 柔らかな 白い光


愛する故郷に ただ想いを馳せて


いつか あの船に 乗って
この 海を 越えて

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