Novel
□リップクリーム(目努)
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「じゃ、いる!!有り難う!!」
そうして、結局洋一はリップクリームを貰ってしまった
(……勢い余って貰ったけど、こんなの塗ってもみっちゃんとチューできる訳ないじゃないか。)
「……ただでさえ、嫌われているのに。」
洋一が、涙目で一人歩いていると
「師匠ー!!捜したんですよー!!」
黒い長髪の男、杉田努力が後ろから追いかけてきた
「……努力ちゃん?」
「師匠?どうかなされたのですか?」
洋一の暗そうな顔を見て、努力は心配になり本来の目的を忘れていた
「いや、何でもないよ。努力こそ、走ってきて僕に何か用?」
「あっ!!はい…。あの…その…どうしたら目立の奴に一泡吹かせる事が出来るんでしょうか?」
努力の急な質問に、洋一は少したってからようやく理解した
「…目立に一泡吹かせたいだなんて。…何かあったの?」
「いえ、特にこれだ!!って事はないんです。でもあのボーフラ、最近見境なく人前で…抱きついてきたりして…。ちょっと…。」
「あー、ちょっと困らせたいわけね。」
「……はい、そのすみません師匠。わけ分からない事言ってるのは分かってるんですが…。」
努力は、しゅんとした様子で洋一に頭を下げた
「!!わっ!何っ!頭なんか下げないでよ!僕で良かったら協力するし。」
洋一は、慌てて努力の頭をあげさせて肩を叩いた
「師匠…。有り難うございます!!」
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