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□スネイプ教授1
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「暑い…」


隣を歩くスネイプ教授が呟いた。
季節は春、の筈だが、季節外れの暑さにスネイプ教授だけでなくロンドン市民はみんな相当参っている。

欝陶しい彼の髪は、ロンドンに来る前に私が結んであげた。うん、似合う。


「そうだね。でも、夜は肌寒いんだよね。」

「この異常気象も全てマグルのせいだ。産業革命以降、マグル共は地球の寿命を縮めるような暴挙を繰り返してきた。
今の超大国を見ろ。奴ら程野蛮な人類はいない、そうは思わないかね。」


教授がいつもより饒舌なのは、怒っている証拠だ。


「産業革命ってイギリスからだよね。イギリス最悪だな、滅びればいいのに。」

「………」

「あれ?貴方もしかしてイギリス人のセブルス・スネイプさん?
ていうか、貴方のアイデンティティはイギリス人としてのもの?それとも、魔法族としてのもの?」

「黙れ、無駄に暑い。」

「はーい。」


テムズ川のほとり、向こう岸にはビッグベン。
これぞロンドンという石畳を、行く先も決めずに2人で歩く。


「そんなに暑いならさ、半袖着ればいいじゃん。」


教授は、もちろんいつものような服では無いが、黒い長袖の服を着ている。
対する私は、半袖のワンピース。
今、ロンドンの空の下にいる人々はみんな薄着で、真夏のような格好をしている人さえいる。


「駄目だ。腕の印が見える。」

「そんなのマグルにはわかんないってば。顔に似合わずこのおっさんは派手なタトゥー入れてるな、って思うだけだってば。」

「そんな男の隣を歩くお前は、どういう眼で見られるだろうな。」

「どんな眼で見られようと、私は気にしないし。」

「我輩が気にする。お前がそんな好奇の眼で見られるのは、耐え難い屈辱だ。」


私は驚いて教授の顔を覗き込む。


「き、教授が暑さでイカレた!」

「…頬を染めて、ありがとう、という場面だと思うが。」

「やだなぁ教授。私がそんなキャラじゃ無いって知ってるくせに。」


私が笑うと、教授も眼を細めた。
太陽の下で見る教授は、いつもよりも眩しい気がする。


「折角ロンドン市内まで来たのだから、今日はこのまま観光でもするか。」

「えっ、」

「我輩が案内して差し上げよう。さぁ、まずは大英博物館でミイラでも見ますかな。」

「えーっ!」







‐どんなに暑いと文句を言っても、繋いだ手は離さない‐

嗚呼!私は彼に確実に愛されている!!


END
 
 

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