Dream =Short=

□対面
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やや季節外れの転校生・有舞 紅は、転校初日には顔を合せなかった、同じ寮の生徒に、翌日になってやっと出会う事となった。






























朝、まだ授業開始まで時間もあると、紅はまだ眠りの中だ。

転校初日が、あまりにも酷かったせいか、まるで死んだように、ベッドに沈んでいた。



が、それを見事妨害する人物が、彼の同室であるというのも事実。






「紅ぁぁぁああっ!!」





「Σっ!?」






朝の寝惚けた状態で聞くには大き過ぎる声に、紅は文字通り飛び起きる。

そして、1つ上の段のベッドに頭が接触、というか、衝突。

ガツンと痛々しい音を立てた頭を抱えながら、紅は再びベッドに倒れ込んだ。






「おわっ!?紅、大丈夫か!?」





「…誰のせいだと思ってんだテメェ…!」






地を這うような声を発し、傍らで自分を見つめる同室の少年…遊城 十代を、紅は、その名に相応しい紅色の瞳で、思い切り睨み付けた。

だが、睨まれた本人は、紅が怒る理由が分からない上に、睨まれた事自体を、大して気にしていないらしい。






「ほら紅!朝だぜ!アカデミア行こうぜ!?俺とデュエルすんだろ〜!?」





「馬鹿だろお前!まだ授業始まるまで2時間もあるだろうが!!」





「早くねーよ。オレいつもこの時間に起きて、着替えして、準備してから、天雅の事起こしに行ってんだから」





「だから、お前の事情に俺を巻き込むなって何度言えば……?…天雅って誰だ…?」






突如十代の口から出てきた、聞き覚えのない名前に、紅は思わず彼に問う。

少なくとも、昨日の連中の中に、天雅という名前の人物はいなかったはずだから。

十代は、キョトンと紅を見返すと、思い出したように、あ、そっか、と声を漏らした。






「紅は天雅と会った事なかったっけ?」





「あったらこんな事聞かねーだろうが」






呆れたように言う紅に、十代はそれもそうだなと納得した。

そして、少し悩んだ後、天雅という人物について、大まかに説明し始めた。







































説明を聞いた紅は、想像を絶する内容に、思わず顔を引き攣らせた。



先程の十代の話を掻い摘んで話せばこうだ。

その天雅という人物は、十代達が1年の頃、紅と同じく転校してきたらしい。

更に、決闘王・武藤 遊戯と、KC社長・海馬 瀬人の推薦を貰ってきたという事から、デュエルの実力の高さは本物だが、それ以上に紅を驚かせた一言がある。






「男子ばっかのレッド寮にいるにも拘らずソイツは《女》で、更に《カードの精霊》が見える…ねえ……」





「おう!!」





「あのな十代…そんな話、簡単に信じられるワケねえだろぉが」






精霊が見える人間はほとんどいないというのに、何故このアカデミアに、そういう人間がこれだけ多く集まるのか。

確率的にほぼ有り得ないと言っても過言ではないだろう。

それ以上に、女子生徒が何故男子寮にいるのか。






「だって本当なんだぜ?……あ、そうだ!紅も天雅起こしに行こうぜ?そうすりゃ、オレが言った事本当だって分かるだろ?」





「全力で断る。お前だけで行ってこい。つか、仮にもそいつ女なんだろ?俺に女子の部屋に潜り込む趣味はない」





「実は気になってんじゃ…」





「いっぺん閻魔大王とやらに会ってみる気はないか十代?(黒笑)」





「遠慮シトキマス…」











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