Dream =Short=

□不器用な優しさ
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デュエル・アカデミアの休講日…






























実際は大した休息にもならないけどな。



































レッド寮から少し離れた場所にある灯台の袂に、一つ、長身の影がある。

彼の名は有舞 紅。

デュエル・アカデミアの生徒だ。

紅は海風にその黒髪を靡かせ、腕を空に向けて背筋をグッと伸ばす。



その時、






「紅ぁぁああっ!」





「げっ…十代…」






かなり距離があるにも拘わらず、そいつの声ははっきりと紅に届いた。

首だけを動かし、遠くに声の主の姿を見つけた紅は、誰が見ても分かるほどに顔を歪める。

声の主、遊城 十代は、腕をぶんぶんと千切れそうな勢いで振り回しながら、紅の元へ走って来た。






「やっと見つけたぜ紅!何で黙っていなくなっちまうんだよー」





「うるせー。外に出るだけだってのに、いちいちお前の許可が必要かよ?」





「けど、いきなりいなくなったらビックリするだろー?」






ムッとした表情で文句を言う十代に、紅は頭を抱え、深く溜め息を吐いた。

すると、何か思い出したらしい十代が、あ、と小さく声を洩らす。

それを聞き逃すほど、彼らの間に距離は空いていなかったためか、その声は紅にもしっかり届いていた。






「そうだ!なぁなぁ紅!」





「何だよ。デュエルならやらないからな?」





「うぐっ…そ、それもなんだけど!…紅さ、天雅見掛けなかったか?」





「は、天雅?」






十代の口から、この場にはいない新たな人物の名前が紡がれ、紅は腕を組み、目を丸くして、一応彼の話に耳を傾けた。






「なんで俺に聞くんだよ?天雅ならお前の方がしょっちゅう一緒にいるだろうが」





「だってさー!デュエルするって約束した時間に天雅の部屋行ったけど、天雅いなかったんだぜ!?」





「約束どころか、今日一切顔合わせてない俺に聞くのが間違いだろ」





「うっ…」






返す言葉もない十代は、紅から地面に視線を落とし、しゅん、と項垂れた。

その様子を見た紅は、再び溜め息を吐くと、人差し指で十代の額を小突く。

突然の痛みに、勿論十代は額を押さえた。






「いっ…〜っ!」





「バカ、んな事してる暇あるなら天雅探せよ」





「けど、何処にいんのかも分かんねーし…」





「あのな…手伝ってやるから、とっと探しに行けって言ってんだよ」






そんなのも分かんねぇのかと、呆れた顔をする紅に、十代は一瞬驚いた表情を見せるが、すぐにいつものような笑顔になり…






「紅大好きーーーっ!!」





「だぁぁあっ!!耳元で叫ぶな!!そして引っ付くなぁあっ!!」











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