dream =short=

□其の二
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シェスによる捕獲術指導の終了後、サクは彼女と共に、カイリューの背に乗って、空を飛び、どこかへ向かっていた。

ちなみに行き先は不明のまま。

シェスに尋ねても、彼女は上手くはぐらかし、結局聞き出せずにいる。



だがサクは、その胸中に、何とも言えない不安…というか、嫌な予感を抱えていた。






「お!やっと見つけた!!おーい!!」






そう声を上げて手を振るシェスの視線は、遥か下、カイリューが下降し着地するであろう場所へ向けられていた。

そこはどうやら、荒野が広がっているような場所のようだ。

地面が近づくのを感じながら、サクは先程から感じている予感が当たらない事を必死で祈っていた。



やがて、先程までの浮遊感がなくなり、カイリューが着地した事を知らせる。

カイリューの背から飛び降り、ストンと着地を決めたシェスは、目前に立っている人物に歩み寄った。

そんな彼女の背を追い、サクのカイリューの背から降り、同じ方向に駆けていく。



…が。






「…やっぱりいた」





「ん?どしたサクちゃん??」






あからさまに嫌そうな表情になったサクに、シェスはキョトンとした顔で尋ねた。

ちなみに、2人の目の前には、2人の男性。

ここに連れてきたシェスは勿論、サクも、彼らには見覚えがあった。






「シェスさん、何でドラゴンマニアと石マニアが此処にいるんですか!?」





「誰がマニアだって?(黒)」






真っ黒な笑顔でサクを見るスーツの男性、名をダイゴという。

つい今、サクが石マニアと呼んだその人である。






「何さ、事実じゃん。初登場≪いしのどうくつ≫だった上家に石飾ってたら尚更だよ石マニア」





「何言ってるの?それは製作者の意図であって僕の石…意思じゃないから」






そんな腹黒2人のやり取りを、少しばかり距離を置いて見守るシェスと、ドラゴンマニアと呼ばれたマントの男性…ワタル。

やや呆れ気味の2人を余所に、彼らの腹黒合戦はヒートアップしていった。

極力関わらないため、できるだけ2人から離れ、勝手に話を進める事にした。






「重症だなーダイゴってば。さすが石マニア」





「それ以上に、若干大人気ない気がするよ、ダイゴ君…まあ、あの2人はいつもの事だし、別にいっか」





「だねー。あ、そうだ。さっきはカイリューありがと」





「あぁ、どういたしまして。シェスちゃん空飛べるポケモン持ってないもんね、元チャンピオンなのに」





「…最後の一言関係なくね?」





「(無視)さて、そろそろあの2人にも黙ってもらわないと…」





「…あれ?無視?あたしの正論無視!?」






























その後、シェスとワタルの素敵に真っ黒な笑顔のおかげで、腹黒合戦は一時休戦となった。

渋々休戦状態を了承したサクとダイゴは、互いに距離を取り、それぞれシェスとワタルの傍らに立っている。

無論、あれから彼らは視線を交えてはいない。






「で、本題に入るよ?今回はシェスちゃんの提案で、タッグバトルをやる事になったんだ」





「た、タッグバトル!?僕そんなの聞いてない!!」





「ありゃ?言ってなかったっけ??」





「何度聞いてもシェスさんがはぐらかすからでしょ!?何より現役チャンピオン2人に元チャンピオンのシェスさんという集まりの中に、丸っきり新人の僕がいる事自体おかしい!!」





「別に問題ないよ?僕が君をコテンパンにする良い機会だし」





「新人いびりかこのヤロー。さすが石マニア」





「それ今関係なくない?」






サクの言う事は全く正論なのだが、この集団の辞書に、正論という言葉はないらしい。

再び合戦が起こりそうな雰囲気が漂う彼らを宥め、シェスがサクに一言。






「サクちゃんを呼んだのは、あたしの個人的希望。あたしがサクちゃんと組みたかっただけなんだよ」





「シェスさんが、僕と…?でも、いくらなんでもこんな状況ですし…」





「足引っ張るとかは言っちゃダメー。あたしが良いって言ってんだから、サクちゃんは気にする事なーいの!」






分かった?と、グッとサクの顔に己の顔を近づけ、ウインクしながら人差し指を立て笑うシェスに、サクは一瞬呆気に取られるが、すぐに笑顔でしっかりと頷いた。

そして、既に用意ができていたワタルとダイゴの方を向き、2人は不敵な笑みを浮かべると、それぞれ使用するポケモンが入ったモンスターボールを手に取る。










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