Dream =Short=

□迷子の名探偵
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―――殺人事件の発生。

被害者が残したダイイングメッセージと、未だ見つからない凶器。

警察からの正式な要請を受けたジュダと天雅は、現場にやってきていた。


生々しい血痕の残る床を無表情で見つめ、ジュダは警察に渡された手袋をはめた。



「…天雅」

「はい!」


彼の意図するところを正確に汲み取り、天雅は動く。

作業をしながら、ちらりと横目にジュダの姿を入れる。瞳に映った彼は名探偵とうたわれるにふさわしい毅然とした態度で現場を検証していた。

巧みに隠された矛盾を見つけ、欠けた事実のピースを頭の中ではめこんでいく彼は真剣そのもので。






ふと、先ほどの問いが頭をよぎった。









―――どうして天雅は……






「(…探偵なら誰の助手でもよかった、というわけじゃないんですよ?)」



どんなに虚実で塗り固められた壁も見通し、真実を見つけ出す彼の彗眼。

けれど被害者は勿論、加害者の気持ちもけしてお座なりにはしない。

そんな彼の探偵としての姿に、惚れたといってもいいかもしれない。

全てを捨てて彼の下についてもいいと、本気でそう思った。



「(だから俺は…ここにいるんだ。自分の意思で、ジュダさんの役に立ちたいって思ったから)」



誰にも悟られぬように、彼女は小さく微笑んだ。

自分が本当にやりたいことに、割がいいも悪いもない。

誰に何て言われても、けして譲れないものがあるように。














「…ジュダさん、これはどうすれば…って、あぁ!?警部さん、ジュダさんは!?」

「…え?さっきまでここに…」

「またどこかで迷ってるのかな…もう!やっぱりあの人はほっとけないよ!!」








とりあえず、迷子の名探偵を探しますか。




そう呟いた天雅の頬は、優しく緩んでいた。









END.


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