Dream =Short=
□迷子の名探偵
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「…あ」
ジュダの発した声に、天雅は視線を向けた。
彼は依頼書から顔を上げ、テレビに映っている人物を苦笑しながら見つめていた。
「…どうかしたんですか?」
「いやぁ…そういや海馬さんに『宝の持ち腐れだから天雅を返せ』って言われてたなーって」
「…何ですかそれ」
「天雅のこと、秘書にしたいらしい。半端な探偵の助手なんかやめて、ってさ」
「…これは俺の意思なんです。横からどうこう言われる筋合いはないですから」
少々ムッとした顔になり、天雅はまた依頼書に目を落とした。
「なぁ、天雅」
「…何ですか」
「そういえばさ、何で天雅は俺の助手やってくれてるんだ?天雅なら、もっと割のいい仕事もあったろーに」
心底不思議そうに問うジュダ。他意はなくふと浮かんだ疑問を、そのままぶつけただけのようだ。
しばらく沈黙した後、天雅は嘆息まじりに答えた。
「…ジュダさんみたいな人、ほうっておけないでしょ。事件の調査中、誤って隣の県に行っちゃったのは誰でしたっけ」
「なっ!!それを言うなよ!俺だって迷いたくて迷ってるんじゃねぇの!文句は親父に言ってくれって…」
―――RRRRRRR…
突然事務所に響いた電話のコール音に、室内は一瞬で静まり返った。