Dream =Short=
□迷子の名探偵
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「まったく…」
「わ、悪かったって天雅…」
両手を合わせ必死に頭を下げる上司に、天雅は溜息をつく。
怒っているものというより、呆れているもののそれ。
「…探偵が証拠品探しの途中で迷子なんて、洒落にならないよ…」
「しょーがないだろ…。俺、方向音痴なんだからさぁ…」
「自分でわかってるのに、どうして俺を置いて一人で行っちゃったんですか?」
「う…面目ない」
一度や二度ならここまでは言わないが、毎度毎度のこととなれば話は別だ。
毎回言い聞かせているはずなのに、事件と聞くと全部忘れて走って行ってしまうのだから。
もうひとこと文句でも言ってやろうかと思ったが、半分涙目の彼を見て天雅は言葉を飲み込んだ。
「…とにかく。今度は一人で行かないでくださいよ、ジュダさん」
「おぅ!!」