ショート劇場

□クリスマスは静かに過ごしたい!?(眼鏡編)
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御堂孝典さんの場合。

「クリスマスイヴだと言うのに、忘年会をするとはな・・・」

「仕方ないだろ。藤田が日にちを、間違えたんだから」

忘年会の幹事を藤田に任せたら、日付を間違えイヴに居酒屋を予約してしまい

しかも、予約を取り消せなかった。

「あ、社長に御堂さん!こっちです!」

私達を見付けた藤田は、両手を上げて名前を呼ぶ。

「ここか?」

「はい!2階の座敷に、皆いますよ」

「それじゃあ、行くか」

佐伯は先に2階に上がり、私は藤田と共に後に続いた。

「お疲れ様ですー!」

「遅くなって、すまない」

佐伯の隣に腰掛けて挨拶を済ますと、藤田が中央で大声を張る。

「社長と御堂さんも来ましたので、お楽しみの王様ゲームを始めたいと思います!」

「「いいぞ!やれ、やれ!!」」

藤田の発言に一同が大絶賛で、王様ゲーム用に作られた割り箸が回される。

「やはり私も参加しないと、駄目なのか?」

前から決めていたとはいえ、あまり乗り気になれない。

「俺もするんだ。文句を言うな」

眉間に皺を寄せて割り箸を引く佐伯に、苦笑して私も割り箸を引く。

番号は3番。

「「王様だ〜れだ!?」」

「俺でした!」

藤田が王様と書かれた割り箸を、皆に見せて笑う。

「それでは、今回は先に命令を、皆さんに書いて貰ってますので、そこから決めたいと思います!」

すると命令書が入った箱に手を突っ込み、一枚の紙を取り出す。

「それでは、命令は足の甲にキス!」

「「誰々するの?」」

内心で呆れた溜息を吐き、番号を聞くと

「3番の足に、8番がキスをお願いします!」

「3番・・・。って私か?」

「8番は、俺ですね・・・」

佐伯の割り箸にはしっかりと、8と書かれている。

「社長が、御堂さんの足にキスですか?」

藤田が、どうしようかと悩んだ顔で、佐伯を見る。

「御堂さんには世話になってるから、これくらい平気だ」

「でも、佐伯・・・」

佐伯は私の片足を取り、靴下を脱がす。

「目に焼き付けろよ?」

そう言って足を軽く上げて、甲に口づけする。

「「さすが社長!」」

「俺が書いた命令は、半端なく酷いから覚悟するんだな」

「「はーい!」」

ジンジンと、口づけされた足が熱を持つ。

(・・・)

ここが家なら良かった等と、口に出せずに王様ゲームは続いた。

肝心の佐伯の命令書は、最後の一枚になり

王様は、またもや藤田。

「最後の命令は、5番が9番に愛の告白!」

「・・・今日は、厄日か?」

「なら俺は、最高の日ですかね?」

9番の割り箸を振って、佐伯はニヤッと笑う。

「台詞もあるので。御堂さん、これでお願いします!」

藤田に貰った紙を読むと、羞恥で赤くなる。

「これを、私が読むのか?」

「爆笑する用意は、出来てるぞ?」

唇を噛み締めて、文章を読み上げた。

「私は・・・、佐伯克哉さんを愛してるピョン」

「・・・」

「だから、離さないでピョン」

「はーい、お疲れ様でしたー」

藤田が早々に締めたが、腹を抱えて爆笑する佐伯に殺意が芽生える。

(後で覚えてろよ・・・)

そして心に決めた復讐は、始まったばかり。
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