ショート劇場

□御堂さんの気持ちを考えよう
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今日の佐伯は一段と機嫌が悪い。

朝の始まりに些細な事で喧嘩をした。

『靴下を丸めて置くな!』

『別に、それ位いいじゃないですか』

『洗濯する方の身にもなってみろ』

『朝から近所迷惑ですよ』

『佐伯!貴様は人を何だと思ってる!?』

『御堂・・・。いい加減にしろ』

確かに身近にあった物を投げては、いけなかった。

見事に佐伯の頭にクリーンヒットしたのは佐伯の携帯。

当たった瞬間に壊れた。

「その佐伯。あのな・・・」

「後にしろ」

謝ろうにも佐伯は何も聞かずに話を遮る。

やはり相当、怒っている。

「・・・」

仕方がないので自分のデスクに戻り仕事を片付ける。

チラッと横目で佐伯を確認しても眉間の皺は刻まれたまま。

(どうすれば、いいんだ?)

悩みながらPCを見ているとメールが届いていた。

時刻はたった今。

送り主は佐伯。

「・・・」

メールを開くと

『俺を怒らせた御堂さんへ』

題名からして、ろくでもない気がする。

『俺を本気で怒らせた御堂さんに罰を与えます。

まずズボンと下着を下ろして下さい。

用意が出来たら返信を。

佐伯克哉』

酸欠したかの様に口を開いて何度も読み直す。

(本気で言っているのか?)

その気持ちのまま返信すると、すぐにメールが来る。

『もちろん本気ですよ』

佐伯の顔を見ると睨みつける様に書類を見ている。

この部屋には二人しかいないとはいえ最初の内容からして嫌な想像がつく。

けれど佐伯は本気だ。

迷った挙げ句、両方を下ろすとメールを打った。

『次は貴方自身を握って下さい。

意味は分かりますね?

分からないならキチンと教えますよ』

つまり自分で自分のモノを慰めろと。

「・・・」

佐伯を見ると素知らぬ顔で書類を作成している。

(クソッ!)

自分が悪いのを自覚しているので諦めて片手で握り空いてる手で返信する。

『それなら、いつも俺がしている様に扱いて下さい。

けれど簡単にイかないように』

佐伯の愛撫の様に根本からユックリと擦る。

「・・・ンッ」

小さな快感の声が口を離れた。

それでも佐伯はコチラを見ない。

(佐伯・・・)

時に荒く、時に優しい佐伯の手の感触を思い出しながら自慰を続ける。
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