長編劇場
□If I love you?
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辞表を出した後はアパートを引き払い、新居を決めるまで本多に世話になっていた。
本多は凄く怒ったが、オレの落ち込み様に段々と口を閉ざした。
御堂さんが捜してるとも聞かされ、絶対に言うなと約束させたが、何時まで持つか分からない。
「ここら辺がいいかな?」
今日は仕事の面接のついでに、新居を捜している。
あれから1ヶ月が経ち、新商品のプロジェクトの営業が始まったと、本多に聞かされた。
それの意味を知るオレは、複雑な心境のまま、良かったなと本多に言った。
「・・・」
空は明るく晴れているのに、滲んで見えるのは何でだろう。
「御堂さん・・・」
返事がないのを知っているのに、貴方を呼んでしまう。
貴方に酷い事をした。
貴方に嘘を付いた。
貴方を手放した。
この両手には、何も残らずに
この胸には、貴方への愛が残る。
「はぁ・・・」
一つだけ溜息を付いて、下を向いたまま歩き出す。
けれどポスッと、誰かにぶつかってしまった。
「すいません・・・」
謝罪の言葉を述べて、視線を上げると驚いた。
「・・・」
「御堂さん・・・」
思いを馳せていた貴方が、そこに居たから。