ショート劇場
□言葉の訳し方
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御堂さんが週末に2日間出張になり、お土産を頼んだのが今朝の話。
そして夜はオレ以外誰も居ない部屋で、膝を抱えてテレビを見ていた。
「・・・これ、面白いな」
ポツリと呟いても、誰も相槌を打たない。
そんな寂しい雰囲気を紛らわしていた。
けれど一人では広すぎるこの部屋に、御堂さんは一人で住んでいたのだ。
それなら、オレだって我慢できる筈。
「・・・。でも寂しい・・・」
先程から触っている携帯を開くと、淡い光が部屋の明かりに負けている。
着信もメールもなし。
何回も確認しているのに、何度も見てしまう。
しかもマナーモードになっていないかも、何回も確認済。
「孝典さんのバカ・・・」
自分から掛けるのは気が引けて出来ないので、連絡を待っているのにメールの一通も届いていない。
わざと悪態を付いて、パタンと携帯を閉じる。
そして、また開ける。
閉じて、開けてを繰り返し、徐に立ち上がった。
「やっぱり電話しよう!」
決意して画面を操作するが、最後の通話ボタンで躊躇ってしまう。
時刻は夜の9時。
出張で疲れて寝ていたらどうしよう。
お風呂かもしれない。
接待中だとしたら、オレに連絡等できないのでは?
「うぅ〜・・・。やっぱり止めとこう」
ポンッと携帯をソファーに沈ませ、シャワーを浴びに風呂場に向かった。