1ページ劇場
□儚きモノ
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静かな雨音に混じり本多は鼻歌を歌う。
それは俺が知らない歌。
「・・・」
PCに向かいながら、それをずっと聞いていた。
時々、途切れては思い出した様に流れる。
本多が窓を眺めながら、口ずさむメロディー。
儚く小さな音楽。
異国の地は二人では寂しくはないが、不意に昔が懐かしくなる。
本多と肩を並べて歩いた道。
今は別の道を進む本多だが、背中越しにお互いの存在を感じる。
「なぁ、克哉・・・」
「何だ?」
鼻歌を止めた本多は、いつの間にか雨が上がった空を指差した。
「虹が出てるぜ?」
「本当だな」
本多の隣に立ち空を見上げると、雲間から光の梯子と共に虹が掛かっている。
儚い虹。
儚い歌。
儚い関係。
それをお前と見れて、幸せだと告げたら
お前は豪快に笑って、絶対的なモノに変えてくるだろう。
(それも、悪くないな・・・)
「♪〜♪〜♪〜」
次に歌う本多の歌は、俺が知っている歌だった。
儚い夢が、現実でも見れる様にお前は歌う。
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