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□彼の名を呼ぶ者
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《鬼畜眼鏡R 本多×克哉ルートのBadEnd後》
桜の木の下で、俺を助ける為にアイツは消えた。
悔やんでも悔やんでも、アイツは二度と戻らない。
穏やかな微笑み。
照れて、はにかんだ笑顔。
少し拗ねた様子で、俺の名前を呼ぶアイツ。
『本多』
『本多?』
『ほーんだ!』
そんなアイツは、もういない。
どうして気付いてやらなかった!
どうして、もっと話を聞いてやらなかった!
今、俺の瞳に写るのはアイツであって、アイツじゃない。
その意味を答えてやりたい相手を、俺が殺した。
「・・・克哉」
あの桜は全て散り、何も残らない。
「克哉」
桜の木に縋り付いて、恋しいアイツの名前を呼んだ。
「かつやぁぁぁぁ!!」
『本多は眼鏡を掛けた《俺》がいいんだよ』
「違う!俺はお前が好きだ!お前だから好きなんだ!!」
「・・・」
「克哉・・・」
滴り落ちる涙を拭いもせず、遅い告白を散った桜に告げる。
それを眼鏡を掛けた冷ややかな瞳で、遠くから佐伯克哉が見ているとも知らず。
「お前は、馬鹿だ・・・」
誰に対してかポツリと呟き、そして眼鏡を掛けた克哉は闇へと消えた。
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