1ページ劇場

□貴方の夢を見るまで
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「御堂さん、どうしたんですか?」

気配を感じて目を覚ますと、御堂がベットの端に腰掛けていた。

「起きたのか?」

御堂の手を掴むと、欠伸しながら答えた。

「あぁ」

空いた手で瞼を擦ると、フワッと前髪を撫でられる。

「御堂?」

「あ、すまない」

「いえ。珍しいですね」

御堂の行動を不思議に思いながら、軽く引き寄せた。

御堂の髪に顔を埋めると、シャンプーの残り香が俺を包む。

すると御堂は両手で、俺のパジャマを掴んだ。

「どうした?」

「悪夢で・・・、目が・・覚めて・・・しまって」

「・・・」

途切れ途切れに話す御堂は、俺の胸に顔を埋める。

「佐伯・・・。君は・・・、ここに・・いる・・・よな?」

背中を優しく撫でると、胸の中で御堂は穏やかに眠りについていく。

「安心しろ・・・。ずっと側にいるから」

「んっ・・・」

そして安らかな寝顔を、胸に抱いたまま朝を迎えた。

「佐伯!起きろ!!」

「・・・。もう少しだけ・・・」

「いい加減にして、早く起きろ!」

腕に抱いた御堂がペシペシと頬を殴り始め、仕方無しに腕を離して寝返りを打つと

「あっ・・・」

「・・・んっ?何だ?」

後ろを振り向くと、寝たままの御堂が少し拗ねた様子で

「いや。何でもない」

そしてソッポを向く御堂の耳が、赤くなっていた。

(可愛い奴だな)

頭をガシガシと掻いてから、ベットから起き上がり御堂に手を差し延べた。

「朝ご飯にしましょう?」

「ああ」

恥ずかしげに手を握る、御堂の耳元に唇をつけて囁いた。

『今日の夜は、離しませんから』

「佐伯!?」

叫ぶ御堂さんに、ニヤリッと笑った。

「御堂さんの夢見が悪いみたいですから、側で一緒に起きてますよ」

ずっと一緒に現実を生きて

ずっと一緒の夢を見ましょう

そうすれば怖くも寂しくもない。

俺は貴方の夢を

貴方は俺の夢を

そんな夢を見るまで、夜は二人で愛し合おう。

「君は、バカだな・・・」

「どうせなら、御堂バカと言って下さい」

そして手と手を握りあって、寝室を後にする。

夜には手と手を繋ぎあって、朝を迎える為に。


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