オペラ劇場
□リバースエッジ
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彼の素裸を抱きしめ、太一は静かに嗚咽を漏らした。
最後の言葉を放つと克哉は力を無くし、されるがままに身を預けている。
克哉の身体には、太一の噛み傷と散々に弄られた痕が残されていた。
一方的に啼かされ、掠れた声で最後に克哉は太一に願う。
「ゴメン・・・っ、かつ、や、さん・・・」
『泣かないで』
優しくしたいのに、俺が傷を付けた。
深い愛情からくる愛痕とは違う、痛々しい愛痕。
その一つ、一つに、太一は優しく口付けする。
「ゴメン、あいしてる」
汗で張り付いた克哉の髪を直すと、太一は頬に自分の頬を擦り寄せた。
微かに克哉の瞼が震え、小さく唇が動く。
「オ、レも・・・」
どんなに酷い事をされようが
どんなに無体に扱われようが
根底に愛があるなら、オレは無条件で太一を愛すよ。
太一の涙が、克哉の唇に触れる。
ああ、ありがとう。殺したい位に、愛してくれて。
だってオレを1番、大切にしてくれると言う事だろ?
殺せる術を持つのに、太一がオレを殺さないのが、何よりの証拠。
熱い滴が唇から頬に流れ落ちると、克哉の唇に太一は唇を寄せる。
だから太一は、オレを心から愛してくれている。
その想いを裏切らない様に、オレは生き続けるよ。
(本気で、オレも愛しているから・・・)
だから、オレを傷付けたと、泣かないで。
これは《キズ》じゃなく、愛しい名が付いた《キズナ》だから。