オペラ劇場

□真実の詩
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まだ愛して。

まだ僕を見限らないで。

僕はまだ頑張れる。

お願いだから、そんな顔しないで『    』



「ハッ!!」

夕暮れの中、ソファーから飛び起きて辺りを見回す。

煩い位に鳴り響く心音が、段々と落ち着いていくのを感じながら

上げた腰を、ソファーに下ろした。

「うたた寝してたら、嫌な夢見ちゃったな・・・」

自分の手を見詰め、冷や汗が背中を濡らしていた。

頑張れ、頑張れ、頑張れ。

何を?どれを?何で?

「秋紀?どうかしたのか?」

夕飯を作っていた克哉さんが、様子がおかしい僕を心配してくれる。

ねぇ、克哉さん。いつまで僕は子供で

いつから大人になって

いつになったら、頑張らなくていいのかな?

「大丈夫!あ〜あ、お腹減ったな〜」

「・・・。そうか、もうすぐ終わる」

「お手伝いするね!」

頑張らない僕を、どうか愛して下さい。

克哉さんの背中を追い掛けながら、心の中で呟く。

偏差値が高い学校は、母親の趣味。

僕の成績が高いのは、父親の御蔭。

僕は選ぶ事が出来なかった。

けど克哉さんだけは、自分で選んだ。

この人に愛して貰いたい。

『秋紀。お母さんに恥を掻かせる積もり?』

お母さん、僕は頑張ったよ?

毎日、毎日、頑張って勉強して、頑張ったのに・・・。

どうして、そんな顔をしてるの?
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