1ページ劇場U

□愛も霞む程の
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《鬼畜眼鏡 因果応報End》

犯して、穢して、堕としめて

壊して、憎ませて、請わせた。

足りない侮蔑の言葉で罵られ

足りない頭で貴方に罪をなすり付けた。

欲しかったのは貴方からの《   》。





「ハハッ・・・。これで私は自由だ・・・」

私が何度も、彼を刃物で刺した。

そして虫の息の彼が、地面に横たわっている。

「なぁ・・・。君は、私から何を奪いたかったんだ?」

「・・・」

そんな中を命の灯が消えゆく瞳に、語りかけた。

「地位か?名誉か?それとも・・・全てか?」

血に染まる両手を彼の頬に添え、顔を私に向ける。

「佐伯・・・。私は君が憎い」

微かに彼の唇が震えて、言葉を紡ごうとしているが

どんな言葉でも、もう私には関係ない。

「さようなら、佐伯。君は、私から全てを奪い。私は、君から全てを奪い返す」

抑揚のない声が、自分の耳にも伝わる。

真っ赤に熟れた果実の色は、心を染めずに手を染めた。

「・・・。佐伯・・・」

憎悪とは、一番、愛情に近い感情。

「起きろ・・・。まだ足りない・・・。まだ君を私は憎んでいる」

赤い両手が、返事をしない彼の頭を抱く。

「・・・。ダカラ・・・オキロ・・・。ナンドモ、コロシテヤル・・・」

赤く染まる彼の肌を、私が知らぬ間に流した雫が落ちていく。

けれど透明な雫は、落ちると同時に赤く染まってしまう。

憎悪と愛情には、執着心が潜んでいる。

「ワタシノ、タメニ、イキロ」

理不尽な願いばかりが増えていく。

彼を殺したい。

彼を生かしたい。

彼の全てを、私だけの為に存在する様に・・・。





御堂から最後にぶつけられた感情は、俺が欲したモノによく似ていた。

そう・・・。俺が欲しかったのは、貴方からの


執着



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