オペラ劇場
□rumble fish
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愛の言葉なんか使いたくない。
黙ったままでも俺の気持ちに気付け
それが、身勝手なのか?
「本多!いい加減に起きろ!人のベッド占領しやがって!」
「ん〜・・・。あと30分・・・」
「・・・死ね」
「グホッ!」
夕飯を食べに来た本多が、疲れたから10分だけベッドを貸してくれと言われ
仏心で1時間貸したら爆睡して、11時過ぎになっても帰る気配がしない。
なので本多の鳩尾を足で踏み付けた。
「さっさと帰れ。今日は泊まらない約束だろ」
「いいじゃねぇか?ちょっと休憩しても」
俺の足を掴まえ撫でる本多に、鳩尾にある足裏に体重をかける。
「・・・片付ける俺の身になれ!」
「マジで、いてーよ!!」
「痛くしてんだ!バカが!」
本多としたい、したくない以前の問題で、明日も仕事なのに汚されたベッドで
明日、寝られないなんて嫌だった。
だが何を考えたのか、コイツは口元を歪める。
「汚さなきゃいいんだろ?」
「・・・。分かった」
「おっ?いいのか?」
呆気に取られた本多から離れ、自室の扉を開ける。
「俺はソファーで寝るから、お前は好きなだけベッドで寝ろ」
「ちょ、ちょっと待て。松浦」
「・・・部屋から出たら殺す」
勢いよく扉を閉めると、壊れそうな音と共に本多と俺の間が隔絶される。
「はぁ・・・。やり過ぎたか・・・」
頭を掻いてぼやいた本多の声は、俺の耳に届かなかった。