オペラ劇場
□rumble fish
2ページ/4ページ
薄暗闇の中を玄関が閉まる音と同時に、ソファーから起き上がる。
テーブルには小さなメモが残されていた。
『夕飯うまかった。サンキューと、ふざけ過ぎてすまない。明日また電話する』
癖のある文字に、自然と顔が歪む。
謝るのは俺の方なのに、アイツはいつも先に謝る。
「・・・バカが」
どちらが、バカなんだ?
素直に気持ちを吐き出す本多。
悪態ばかりで、素直な言葉も
愛の言葉さえも、満足に言えない俺。
自分の事ばかり優先する俺を、本当に本多はずっと好いてくれるだろうか?
「クソッ」
携帯だけ持ち、ベランダを開ける。
今なら、まだマンションのベランダから、アイツの姿が見える筈。