オペラ劇場
□Heart
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秒針が部屋に響き、携帯を握りながら時計を見詰めた。
本多の自宅からなら、もうすぐ到着する筈なのに、まだ来ない。
「・・・電話しようかな?」
(現在地を聞く位、大丈夫だよな?)
何回も電話して、鬱陶しいと思われるのが嫌なので自問自答する。
自分がされたら嫌な事は、人にしてはいけない。
当たり前の言葉が思い浮かぶのは、先程まで母親と電話していたからだろう。
自分が本多に束縛されるのは嫌じゃない。
けど本多が、オレを重いと感じたら嫌だ。
「・・・。早く来いよ・・・」
呟いて携帯を握り締める。
家族と通話してたら、不意に寂しくなった。
一人暮らしの人恋しさを、本多と共有して癒されたい。
完璧なホームシックに、苦笑しか漏れない。
そんな時間が過ぎる。
「本多のバカ・・・」
わざと悪態を付いて、侘しいのを紛らわした。