オペラ劇場
□Desire
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朝が来れば、君は居ない。
服を着替える為に、いつも君は朝方に自宅に帰っていくから。
だから僕は、朝が嫌いになった。
朝が来なければ、君は僕の傍にずっと居てくれるのに。
餌箱を鳥籠に入れるとインコ達が、仲良く餌を突く。
これが僕の、朝の日課。
「お早うございます。昨日は、よく眠れました?」
「ピチュイ!」
パサッと羽ばたき、よく眠れて元気だと教えてくれる。
「そうですか。それは良かった」
前より独り言が増えた。
「僕も昨日は・・・」
前より人肌が恋しい。
それは孤独を埋められると、心の隙間の闇が色濃くなるから。
「昨日は・・・」
君と夜を過ごしました。
けれど朝になると、君は泡沫の夢の様に消えてしまう。
「・・・止めよう。僕は強くない」
小さく首を振って、何かを否定する。
そして自分の身を自分で抱きしめると、その何かを忘れた振りをする。
今、小さく呟けば、君に届きますか?
逢いたい、愛して、今すぐ抱きしめて
(僕を置いて行かないで・・・)
この孤独が住まう場所に、僕を残して行かないで。
君以外の愛も詰まっている部屋。
この愛は、とても愛しくて寂しい。
僕にとって何かとは、孤独な心だった。