オペラ劇場
□Desire
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「ただいま。稔さん」
「!!」
すると後から、フワッと君の香りに包まれる。
「どうして?」
驚いて振り向くと、僕の顔が君の瞳に写る。
昨日と同じシャツに身を包んでいる佐伯くんは、可笑しそうに肩を揺らす。
「今日は休みですよ?」
「あ・・・」
「朝飯と煙草を買いに行っただけです」
抱き締める力が強まり、君の存在をより強く僕に教えてくれる。
泡沫の夢では無い。
君はここに居て、僕を抱きしめ、愛を囁く。
「それと今度から、着替えをここにも置いて貰うつもりなので、覚悟して下さいね?」
「何をですか?」
いまいち理解できずに小首を傾げると、悪戯を思いついた顔で告げる。
「布団から起き上がれない位に、もっと深く愛してあげますよ」
君も、僕と同じで朝が嫌いなんだね?
「稔さん?笑う余裕があるんですか?」
だから今見える太陽は、真昼の月にしましょうか?
だから僕を、今すぐ愛して下さい。
「僕は、朝が嫌いになる位に、君が好きですよ」
僕の想いを聞いた君は、優しく瞳を細め
愛の言葉を発した唇を塞いだ。
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