オペラ劇場

□Passion
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オレ達が一緒に存在する事を、罪と呼ぶなら

オレは罪人のままでいい、なんて事を伝えると

俺は鼻で笑って、お前はバカだと言う。

その言葉に少し拗ねる振りをすると、やっぱりバカだなとオレに口付けた。

それすらも夢だと言うなら、眠り続けたいと願う事も罪だろうか?



「うぅ〜。どっちがいいかな?」

見た目重視か、機能性重視かを悩んでいる。

珍しく俺が服を買ってくれると言ったので、春先のジャケットを見ていた。

カーキ色の薄手のジャケットか、オフホワイトの2ウェイで今から着れるジャケット。

カーキ色の方は値段もいいので、オフホワイトにしようかと選ぶと

「これにしろ」

「えっ?これ?」

俺が持ってきたのは、ターコイズブルーの体にフィットするタイプ。

「でも・・・」

高い生地で着心地もいいが、値段もより高くなる。

「お客様なら細身ですので、お似合いですよ」

「包んでくれ」

店員と共に会計に向かう俺の服を掴み、クイッと引っ張った。

何も言わなくても俺は意味を理解して、オレの額を軽く叩く。

「これ位、簡単に買える」

「けど・・・」

「あのな・・・。お前も俺みたいに、洒落た物を着ろ。でないと舐められるぞ?」

「誰にだよ?」

するとニヤッと口元を歪めて顔を寄せると、ペロッと耳朶を舐められた。

「俺に」

「バカ!こんな所で遊ぶな!」

怒鳴り付けても、どこ吹く風で会計を済ましに行く。

それを見ながら耳を抑えて、小さく悪態を付いた。

「オレの気も知らないで・・・」

この想いが溢れれば溢れる程に、現実で目覚めれば辛くなる。

オレと同じ後ろ姿に視線を送ると、不安に胸が締め付けられた。
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