オペラ劇場

□HEART STATION
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君の携帯の番号は、携帯の短縮に登録している。

すぐに電話を掛けれる様に、なんて言い訳がましい?

それとアドレスナンバーが0番だって事は、君には絶対言えないな。

だって凄く嬉しかったんだ。

君に、また出逢えて。

君と、心を交わせて。



夜中までの残業に飽き飽きして、家路に車を走らせている。

予定では克哉とご飯を食べに行く約束をしていたのに、急な残業でキャンセルになった。

『気にしないでいいよ』

明るい声で言われ、少しだけ寂しかった。

俺だけが君に逢いたいのかと、哀しい錯覚が起きる。

色んな出来事を繰り返し、自分の想いをさらけ出す事で、君を手に出来た。

恥も外聞も捨て、心の奥底から叫んで伝えると、克哉は泣きそうな顔で笑う。

『お前が傍に居たいと言ってくれて、オレは嬉しいよ・・・』

助手席に投げ捨てた携帯をチラッと見ても、電話着信を知らせるランプは光っていない。

「はぁ・・・」

それでも諦め切れず、赤信号で車を止めた時に携帯を開く。

メール着信を知らせる表示もない。

短縮ダイアルは、番号のボタンを長く押す事。

克哉の携帯は、1に登録してある。

それに軽く触れ、指を離した。

「・・・ダメだな。俺は・・・」

携帯を閉じてハンドルにもたれ掛かり、信号が変わるのを待つ。

『紀次・・・。明日は逢える?』

日付は、もうすぐ変わる。

先に赤信号が変わり、青く光るランプを見詰めた。

「よしっ・・・」

ポンッと携帯を投げると、ハンドルを切り直して克哉の家に向かった。
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