オペラ劇場

□Stay Gold
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言葉に出さず背中合わせでも、お互いの距離が分かり

多大な信頼を置いている。

それは、俺に取って強みであった。



ゴシップ記事は、必要としなくても眼に付く。

その内容に舌打ちして、ごみ箱に雑誌を捨てた。

郵便受けに送られた、本多のゴシップが掲載された雑誌。

相手が俺だったら、別に雑誌まで捨てなかったが

「・・・」

相手は、チーム内にいる選手の婚約相手。

本多の胸に抱き着く女の、写真が載っていた。

有名になればなる程に、パパラッチがハイエナの如く顔を出す。

どうせ、アイツの事だ。

相談してる時に感極まった女が、本多に泣き付いただけだろう。

写真が写す場所は、俺達が住むアパートの前だった。

だが・・・、気に喰わないのは事実。

「克哉?飯できたぞ?」

「本多。俺に言う事はあるか?」

当初、取りに行く予定の新聞を丸めて、手に打ち付ける。

ポンポンと音を鳴らしながら近付くと、本多は首を傾げて笑う。

「ある訳ねぇだろ。あったら、とっくに言ってる」

「アパートの前で、女に抱き着かれたのは?」

俺の言葉に、頭を掻いて知り合いと答える。

「お前には関係ねぇよ」

「・・・そうか。それなら、仕方ない」

「克哉?」

言ってる事と表情が合ってない事に、気付いた本多は後退りする。

それに口元を歪めて告げた。

「言いたくなるまで、悪戯してやるよ」

「ちょっと待て!なんだ、それ!!」

時すでに遅し。

「止めろー!!」

本多は俺の下で、叫び声を上げた。
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