オペラ劇場
□Be My Last
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そう思っていた、朝の出来事に戻りたい。
(俺に、どうしろって言うんだ?)
夜にチャイムが鳴り玄関を開けると、克哉がスーツ姿で酒が入った袋を軽く上げて
「明日、休みだろ?だから夜通し飲んで、泊まろうかなって・・・」
そんな事を言い出した。
二人きりとは、非常にマズイ。
今の俺は腹を空かした獣の状態で、目の前に肉を差し出され、食べていいよと言われているに等しい。
そして食べれば、嫌われるに決まっている。
「・・・本多?中に入れてくれないのか?」
こいつの瞳が潤んで見える俺は、確実にヤバイ。
「克哉!外に飲みに行こうぜ!」
「へっ?ちょっと本多!」
慌て玄関に鍵を閉めて、居酒屋へと向かう。
その後ろで、克哉がネクタイの結び目に手を掛けていたのは、見えなかった。