オペラ劇場

□Fry Me To The Moon
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ある日執務室で作成した書類を、御堂さんに渡していると仕事の近況を聞かれた。

「変わった事ですか?」

「近々、人事異動が行われるそうで、派閥争いの余波が君にも来るかもしれない」

御堂部長の推薦で子会社から引き抜かれてから、色々と陰口は囁かれていたが

それが目に見えて、酷くなると言われた。

「だが、全て無視しろ」

「無視ですか?」

「君には私が認めた能力がある。それを誰が何と言おうと、事実でしかない。

それなら、無視するのが一番効果的だ」

さらりと褒められ、恥ずかしさで居心地が悪い。

それを知ってか、御堂さんは厳しい顔でオレの名を呼ぶ。

「佐伯克哉。まだ謙遜するなら、私は怒るぞ?」

「はい・・・。怒られない様に、努力します」

それでいいと満足げに頷き、それとと続けた。

「仕事に支障が出るなら、私に相談しろ」

「分かりました」

この時は、甘く見ていた。

仕事にまで影響する程に、ターゲットにされていたとは思っていなかったから。
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