ショート劇場

□言葉の訳し方
2ページ/3ページ

風呂から上がると、メールの受信を知らせるランプが点滅していた。

「うそっ!」

数分の間に、御堂さんからのメールが届いている。

『Because you care about me, I transmit an email.

Then I ask you a question.

There is not me near you and is not lonely?

If you understood a meaning, please tell an answer.』

暗号の様な、英文に眉根を寄せた。

「クエスチョン?ロンリーと言う事は、寂しくないかって事かな?」

翻訳辞書が御堂さんの自室の引き出しに入っているので、拝借して文字を解読していく。

『君が私に気を使っているので、メールを送信する。

質問だ。

君の傍に、私が居なくて寂しくないか?

君が意味を理解したなら、答えを聞かせろ』

そんな感じで翻訳すると、隠せない笑みがこぼれ落ちる。

「寂しいですよ。

だから早く帰って来て下さい」

カチカチとメールを作成してから、ふっと思い立って作成画面を消した。

メモリから御堂さんの電話番号を引っ張り、通話ボタンを押す。

4回目のコール音で、電話が取られた。

『それで答えは、何だ?』

電話越しに解答を求める御堂さんに、クスッと微笑んで答えた。

「I miss you」

貴方が居なくて、オレは寂しい。

『・・・。I miss you, too』

私も、君が居なくて寂しい。

「明日は、オレの所に戻って来て下さいね?」

『ああ。夜は一緒に食事しよう』

この部屋に一人は寂しい。

だから早く、この部屋で二人になりたい。

『それじゃあ、明日また電話する』

「そうだ。一言だけ・・・」

『何だ?』

二人で一緒に、全てを分かち合いたい。

孤独も、愛も、身体も、そして・・・

「I love you」

『Me too』

言葉も分け合い、貴方の耳に届けたい。

明日は直接、耳元で囁いて伝えたい。

オレは、貴方を愛してる。


Next→後書き
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ