1ページ劇場

□サボテンの花
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サボテンに花を咲かせるには、深い愛情と甘い言葉を囁き続けなければならない。

「お味は、どうですか?」

「はい。美味しいですよ」

今日は珍しく洋食の料理が並び、彩り鮮やかに食卓を演出している。

「俺は、片桐さんの料理が一番好きです」

「それは褒め過ぎですよ?」

恥ずかしそうに答える片桐さんに、本当ですよともう一度告げる。

貴方を愛する余り、何時も貴方の笑顔が見たい。

花が綻ぶような、貴方の微笑みが欲しい。

「僕は、君が食べてくれる時が、一番好きです」

「俺が?」

「君が美味しいと思ってくれた時に、一瞬だけ無防備に微笑むんです」

不意に自覚してない事を言われ、恥ずかしさが心を締め顔を赤く染まらす。

「それに嫌いな物が出ると、眉間に皴を寄せたまま口に運ぶ時とか・・・」

「すいません・・・。もう止めて下さい」

真っ赤な顔を手で隠し、降参すると片桐さんは静かに微笑む。

「君が、そんな顔をするのも好きです」

「・・・。貴方には敵いませんよ」

サボテンには、花が咲く。

それを知っている、片桐さんは

優しく、俺に深い愛情と甘い言葉を囁く。

「でも・・・。僕だけにして下さいね?」

「当たり前です・・・。貴方以外に見せれない」

刺もあるのに、貴方は優しく語り掛けて、何時しか小さな花が咲いた。

それは片桐さんの為に咲いた、ピンク色の小さな花。


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