ショート劇場
□御堂さんが暇な時は?
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ペラッと最後のページをめくり終わると、フゥッと溜息を付いて、背中を御堂さんに預けた。
「ちゃんと合っていただろう?」
「確かに合ってましたけど・・・」
最後のページの文章が、御堂さんが呟いた言葉と、一句一音同じで驚いていた。
「何回も読んだからな」
「そんなに好きなんですか?」
少しだけ振り向いて、尋ねると小首を傾げられる。
「好きと言うか、不思議に思っていた」
「不思議?」
「こんな風に誰かを想えるのか、と・・・」
一生に一人だけを愛し抜き、死して尚も胸に抱き続ける。
「・・・。それで孝典さんは、この本みたいに・・・、誰かを想う事が出来たんですか?」
「・・・。聞きたいのか?」
いつもの笑みに変わり、唇をオレに寄せる。
そんな御堂さんに教えて欲しいと、微笑んでお願いした。
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