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□最強の二人
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会社に出勤すると、先に来ていた御堂に来客があった。

「客は誰だ?」

「前にMGNにいた、本城さんです。だけど俺、本城さんが嫌いなんで、早く帰って欲しいんですけど・・・」

藤田が珍しく嫌う人物は、御堂と口論しながら応接室から出て来た。

「だから言ってるだろ?貴様に、やる金はない」

「御堂・・・。お前じゃ話にならない、佐伯克哉とか言う男を呼べよ?」

不穏な空気に仕方なく顔を出すと、御堂が不愉快そうに本城を睨んでいる。

「初めまして。俺が佐伯です」

「へぇー。君が佐伯くんか?ちょうど良かった。君と話がしたいんだけど?」

「しつこいぞ、本城。佐伯に言っても無駄だ」

「僕は佐伯くんに、話があるんだ」

御堂の言葉に耳を貸さず、本城はまた応接室に入る。

(なんだアイツ?)

(昔の知り合いだが、本城の言葉を了承するなよ)

御堂と小さく言葉を交わして応接室に入ると、本城は足を組んでソファーに座っていた。

「それで俺に話とは?」

「単刀直入に言うと、新しく会社を設立するから金を貸して欲しい」

チラッと御堂を見ると、呆れた様に首を振る。

「御堂は駄目だと、言っているが?」

「君から説得して貰えば、御堂も納得するだろ?なんたって、公私共にパートナーなんだからね」

本城は嫌らしい顔で、俺と御堂を眺める。

「つまり、脅しか?」

「僕は別に気にしないけど、回りの反応は冷たいだろうねぇ?」

「本城!いい加減にしろ」

本城に対して、御堂は苛立ちを隠さずに告げる。

「取り敢えず、二つ言っておく」

「なんだい?」

「一つは、俺達は世間に公表されても、別に構わない」

「へぇ?構わないんだ?」

あからさまに態度を変えて、身を乗り出す本城に笑ってやった。

「逆に、コイツに悪い虫が付かなくなるから、ありがたい」

「佐伯!」

「チッ・・・」

その答えが面白くないのか、本城は舌打ちする。

「二つ目、それでも忠告を無視して、俺達にまだ手出しするなら、相応の覚悟で来いよ?」

「お前ら・・・」

本城とは比べ物にならない、極上の嫌らしい笑顔で教える。

「何せ中途半端に優しくしない質が、二人も相手だからな?」

「分かっただろ?私達は甘くない」

御堂と同じ答えを出した俺に、本城は悔しげに唇を噛む。

「クソッ!」

そして言葉を吐き捨て、本城は部屋を出て行った。

「しかし、俺達の昔の知り合いに、ロクな人物がいないな?」

「確かに・・・。でも君の方が、質が悪いだろう?」

「お前に、言われたくない」

同質の二人だからこそ、合わされば最強になり。

反発すれば、最恐になる。

「言っておくが、私に付いた悪い虫はお前だ!」

「その虫が好きな癖に、よく言うよ!」

だから愛情の裏返しは、しない様に気を付けよう。


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