長編劇場

□無花果
2ページ/8ページ

あの日から、私は狂おしい日々を過ごしていた。

本城の車に克哉が跳ねられ意識不明となり、ようやく目覚めたと思ったら

「同じ存在だと?」

私じゃなく、自身に宿るもう一人の存在に依存していた。

あまつさえ私を夢の存在だと言う。

世界は狂ったのだろう。

だから私は、絶望に身を置く事になる。

「だからと言って、諦められる訳ないだろう?」

どんなに君を愛してるか

どんなに君が目覚めるのを、待ち望んでいたか

知らずに、自己に逃げるなんて赦さない。

「絶対に渡すか・・・」

克哉に眠るもう一人の存在に呟き、次のチャンスを待った。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ