長編劇場
□無花果
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あの日から、私は狂おしい日々を過ごしていた。
本城の車に克哉が跳ねられ意識不明となり、ようやく目覚めたと思ったら
「同じ存在だと?」
私じゃなく、自身に宿るもう一人の存在に依存していた。
あまつさえ私を夢の存在だと言う。
世界は狂ったのだろう。
だから私は、絶望に身を置く事になる。
「だからと言って、諦められる訳ないだろう?」
どんなに君を愛してるか
どんなに君が目覚めるのを、待ち望んでいたか
知らずに、自己に逃げるなんて赦さない。
「絶対に渡すか・・・」
克哉に眠るもう一人の存在に呟き、次のチャンスを待った。