ショート劇場

□クリスマスは静かに過ごしたい!?(ノーマル編)
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五十嵐太一さんの場合。

カシャカシャとシェイカーを振って、お酒を混ぜ合わせ

それをグラスに入れると、鮮やかなブルーの液体が輝く。

「初めてだから、勘弁してね」

そう言って太一が差し出したのは、ブルーハワイというカクテル。

「ありがとう、太一。頂きます」

口に含むと美味しいので、太一に微笑んだ。

「上出来だよ。もしかして、オレより上手いかも」

「それは褒めすぎだよ、克哉さん。けど嬉しい」

鼻を擦って照れを隠す太一が可愛くて、カクテルを味わいながら飲み干す。

「お代わり!」

「は〜い、承りました!じゃあ、次は何にしようかな?」

棚に並んでるボトルを眺めて、太一は新しいのを考えてくれる。

「今度は辛めで、お願い」

「辛めね・・・。それなら、これは?」

太一が持つボトルは、象も一発で倒れるお酒だった。

「ゴメン。さすがに、それはキツイかも・・・」

「克哉さんでもダメか〜。一度、飲んでみて欲しいんだけどな?」

キラキラとした視線を送られ、断り切れずに

目の前に火が付きそうな程の、アルコール度数が高いカクテルが出て来た。

「・・・」

「さぁ、克哉さん。召し上がれ?」

ゴクッと唾を飲み込んで、一口だけ舐めた。

「!!」

「克哉さん?」

「無理、無理、無理!絶対、無理〜」

舐めただけでも、体が火照ってくる。

「本当に、ダメ?」

太一の言葉に、ウルッと涙が零れそうになる。

「ダメって、言ってるのに〜」

「嘘!?もしかして、酔っ払ってる?」

「酔ってないぃ〜。太一がイジワルだぁ〜」

泣きながら訴えると、太一はカウンター越しにオレの頬を撫でた。

「ゴメンね。酔っ払う克哉さんが見たくて、意地悪しちゃった」

「グスッ・・・」

「泣かないで・・・」

体が熱いのに、太一が触れる唇はもっと熱い。

「たいちぃ・・・」

「なに?克哉さん」

「だいすきぃ〜」

ちゃんと伝わったか、覚えていない告白を最後に、記憶が途切れた。

「俺も大好きだよ・・・」

でも太一の言葉は、夢の中で聞こえた。
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