オペラ劇場

□流星
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《鬼畜眼鏡 御克BadEnd(本多絡みルート)》


時間の制約もない、ベルベットの真紅のカーテンに包まれた部屋。

そこに初めて訪れた時

アイツのあんな姿を見て、生唾を飲み込んだ俺を金髪の男が嗤う。

『抱いて差し上げればいいのですよ』

至極、単純な

真っ当な、提案に

『ほ、んだ?』

電話越しに聞いた、あの声が震えている。

『みないでくれ!!いやだ、っ!』

『大丈夫だ・・・、克哉。俺が、一緒に居てやるから』

心身を闇に預けた。



流星
(深い闇に流れた星)



一際高い声を発すると、明るい髪が横に揺れて、俺の腕に倒れ込む。

拘束された腕が照明に当たり、卑猥な輝きをしていた。

「・・・」

固く閉ざされた克哉の心を、闇が付け入り隙を広げる。

「克哉・・・」

不健康な青白い肌が、全て汚されていた。

それは俺を含めた、男達の手によって。

誰にも気を赦さない孤高な存在。

いつだって、お前は独りで、俺なんか眼中になかった。

「お前は、俺なんか必要無かったんだろ?」

所々が赤黒く鬱血して、治るそばから付き色濃くなっていく。

白い肌に、闇色が侵食する。

「ずっと、ずっと・・・。お前は、孤独で居たかったんだ」

克哉は快楽に溺れる事で、自分を正当化した。

こんな事をされたら、誰だって快楽に溺れると言う正当性を主張して、自己を放棄したのだ。

精液に塗れ、パサつく髪に思わず苦笑が漏れる。

「もう、止めようぜ?お前が、どんなに俺を必要としてなくても・・・」

そして克哉の身体を起こし、情事の残り香がキツク鼻に付くのも構わず、抱き寄せた。

「俺は、お前が大切だったんだ」

闇に隠れた、希望の星

最初は、お前の姿を捜していただけなのに。

「だから、止めよう・・・。俺も言い訳しない・・・。もうしないから」

闇に消えたと、うそぶいた。

身体を抱き上げると、肉が無くなった細い足首が瞳に映る。

「帰ろう・・・。もう遊びは終わりだ」

けれど簡単にいかないのが、人の世の常ならば

「それは、駄目ですよ?彼は、立派な商品なんですから」

金髪の男が行く手を阻み、あの時と同じ笑みを浮かべる。

「分かってるさ。だから、お前に提案する」

できるなら、もう独りで生きていかないでくれ。

「俺が残るから、コイツを解放してやって欲しい」

孤独な星。アルファルド。

(克哉・・・。こんなにも遅くなって、すまない)

了承したのか、俺の腕から克哉を受け取り、金髪の男は重たい扉へと向かう。

「じゃあな、克哉」

いつかお前の隣に星が流れて、星座に生まれ変わる様にと、柄にもない祈りを捧げた。
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