08/10の日記

17:00
憧憬依存 御堂←本城←四柳←内河
---------------

※ちょっとだけ、エロ注意











人間と言うのは、多かれ少なかれ、何かや誰かに依存する。
それは、自己の確立に置いて一番簡単な手段かも知れないが、依存度合が深まれば深まる程、純粋さが欠けていく。

「すきだ……」

熱い吐息と共に吐き出された言葉が、首筋を撫でて、自分を離す気の無い腕が、まるで蛇の様に絡んでいる。

「ほんとうに、すきだよ……」

背中越しに聞く言葉は、嘘偽りは無いだろう。
するりと僕の首に伸びて行く、本城の手。
少しずつ首元が圧迫されるが、不思議と恐怖心も無く受け入れる事が出来たのは、自分が何かに陶酔しているからとも言える。
いや、やはりこれも依存だろう。本当は、必要とされたかった。
華やかな彼の傍に居る為に。

「  」

だから、ぼくいがいの、なをよばないで。



憧憬依存



この気持ちを憧れだけで終わらせたかった。
男が男に恋愛感情を抱くなど、本来ならばあってはならない事だからでもあるし、自分の好きな相手が他の人を好きだったからでもある。
その相手が、自他共に認める程、スペックの高い人間で、完璧主義な男だったからだ。
性格に癖があろうとも、この男の完璧さには美しいものがあり、誰であろうとも惹かれる魅力があった。
それに比べて、自分は一般的な人より上だとしても、その男には劣る訳で。

「っ、ぁ!あぁ、っ!」

軋むベッドの上で口にした嬌声は艶やかなものでは無く、相手に取っては記号と大差無いものかも知れない。
けれど、相手から滴り落ちる汗が、自分の頬を濡らす度、求められているのだと胸の奥までも熱くさせる。
しかし、繰り返される名を聞くと、熱くなった胸に冷たい水を乱暴に掛けられた様な気分に襲われ、いつもこの行為が虚しいものなのだと自分に教えた。

「ほん、じょう……」

それでもキスを求めて触れた頬は熱を持ち、これが現実だと教えてくれる。
そのまま手を滑らせて、相手の頭に触れて唇を寄せると、いつも舌をくれるから夢中になって絡ませて。
どうしようも無い程に、虚しい癖に。この関係に依存し続けるのは、好きで好きで堪らなかったからだ。
キスを終えた後、不安げに瞳を揺らす男の事が。

(その瞳をするのは、罪悪感からなのだろうな……)

だから、そっと相手の瞼に口付ける。

「名前を……、呼んで?」
「……  」
「そうだよ、本城」
「……。……」
『僕は……』

熱い雫を唇で掬い取り、狂おしい程の苦みを味わい。
恋とは呼べないものに、膝を折っていた。

「四柳!!」
「っ!?」

クラクションを鳴らした車が目の前を通り過ぎ、驚きながら腕を引っ張ってくれた男を見遣る。
心底から心配している顔を見て、またやってしまっていたのだなと反省した。

「すまない、内河」
「いや……、それは構わないが……。平気か?」

大丈夫かと聞かない内河の優しさに感謝しつつ、平気だと答える。
ゆっくりと体勢を整えてから、一つだけ深い息を吐き出す。
そして、目の前を流れて行く車をぼんやりと眺めていると、遠い日の記憶ばかりが蘇る。

「……あいつは、ここには居ないぞ」

厳しい声が隣から上がり、苦笑と共にそうだねと同意する。
どんなに街中で姿を探そうが、記憶の中にしか無い姿に、未だ何故縋っているのだろう。
内河に掴まれた手が優しくて、痛い。
痛くて仕方が無いから、その手に触れて人々が動き出すのを横目に、瞼を閉じて現実を遮断する。
好きだと一言でも言えたのなら、この腕を掴んでくれるのは君だったかも知れない。

「だから……。縋るなら、俺に縋れ」

そんな事ばかりを考える自分は、とても狡い人間なのだと思い知らされていた。




兄貴生誕話にするつもりが失敗したので、内河さん推称発足隊になってみた。
全てが一方通行の片想いの中、田之倉さんだけが女好きだと認識できてるから、本当に不思議(笑)

前へ|次へ

日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ