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□☆手を繋いだままで
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修学旅行が終わり、今日からまた退屈な授業の繰り返し。

せめて鮎沢と同じクラスなら、ここまで退屈でもないんだろうけど…昼休みまであと10分、か…。

「ふわ…っ…」

“修学旅行”…か。楽しかったなー…うん…。



俺のおそらく最初で最後の“修学旅行”というイベントは、予想以上に楽しく、充実したものになった。

鮎沢とちゃんと転校の話が出来たし、ずっと気になっていたことも聞けたし…我ながら何を変に勘ぐっていたんだろうと思うけど、ふたりの仲を隠したい理由をしどろもどろに説明する鮎沢はそれはそれは可愛くて、結果的に鮎沢の可愛い顔がたくさん見れたからまあいいか、なんて思ってる。それから…、

『…もう…お前との時間を無駄にしたくはないんだ…!』

『…うん、俺もだよ』

あんなに真っ赤になって汗だくで…まさに“清水の舞台から飛び降りる”心地だったに違いない…なのに鮎沢は自分からしっかりと、俺と手を繋いでくれた。ふたり一緒に過ごせる時間を大切にしようと、心に決めてくれた。

鮎沢が俺との関係を隠そうとしたのは、俺のことが好きだから。

そして隠すのをやめようと決心してくれたのも、俺のことが好きだから。

鮎沢は俺のことが大好き。それはもちろん俺だってそうなんだけどねー…こういうのを、“ラブラブ”って言うのかなぁ…なーんて…。

「…フフッ…」


ちゃんとお互いの気持ちを伝え合うこと。自分の気持ちを見失わないこと。

それが大切なんだ。二度と、この繋いだ手を離さないためには。…そんな風に思った。



俺の転校で何がどう変わって行くのかはまだわからないけど、ふたりの気持ちがひとつならきっと大丈夫。

俺は鮎沢と一緒なら何だって乗り越えられる。その気持ちはずっと変わらない…。




キーンコーン…


昼休みだ。

俺はマフラーを巻くとコンビニの袋を手に席を立った。

昼休みの生徒会室は寒い。ま、それ以前にこのマフラーを手元から離すのも嫌なんだけど。

さて、鮎沢はすぐに出てこれるかな…?


「「碓氷先輩っ!」」

「ん?」

廊下に出るといきなり上着の裾が後ろに引っ張られ、俺は立ち止まった。

振り向くとそこには……なんだか叶と幸村をひとまわり小さくしたような男子生徒がふたり、怯えた表情で立っていた。




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